朝の空気が少しひんやりして、道沿いの木々にも季節の変化を感じるようになりました。
忙しい日には、家と仕事場を行き来するだけで一日が終わることもあります。それでも、いつもの道を少し歩いてみると、庭先の花や空の色など、普段は通り過ぎていた景色に気付くことがあります。
秋の散歩は、そんな小さな楽しみを暮らしに足す時間にもなります。まずは、近所をひと回り。今の自分に合う長さとペースから、歩く習慣を始めてみませんか。
まずは「近所をひと回り」から
散歩を始めるとき、最初から長い距離や大きな歩数目標を決める必要はありません。
いつもの買い物に出る前に、家の周りを少し歩く。昼休みに建物の外へ出て、近くの角まで行って戻る。例えば5分ほどの短い散歩なら、予定の中にも取り入れやすそうです。
これは、習慣を始めるための一例です。体力や体調に合わせて、もっと短くしてもかまいません。
厚生労働省の「アクティブガイド2023」では、個人差に合わせて活動量や強さを調整し、今より少しでも多く体を動かすことが勧められています。「今より10分多く体を動かす」という考え方も、その一つです。[1]
歩くことに慣れてきたら、心地よく続けられる範囲で、少しずつ時間を足してみましょう。
距離よりも、また歩きたくなる理由を見つける
「運動のために歩かなくては」と思うと、出掛けるまでに少し気合いが必要になるかもしれません。好きな景色や小さな用事と結び付けると、散歩の時間を楽しみにしやすくなります。
例えば、季節の花が咲く道。朝の光がきれいな公園。いつもより一つ先の店まで、買い物に行く道。
遠くの名所を探さなくても、気になる場所は案外、家の近くにあります。
気に入った道が見つかったら、その日の予定に合わせて、短いコースと少し長いコースを用意しておくのもよい方法です。「今日は短いほうで」と選べるだけでも、出掛けやすくなります。
歩く時間を、すでにある予定につなげる
新しい習慣のために毎日まとまった時間を空けるのは、簡単ではありません。すでにある予定につなげてみましょう。
- 買い物へ出る日に、近所を少し回ってから店へ向かう
- 昼休みに、無理のない範囲で外を歩く時間をつくる
- 休日の朝、家族と近くの公園まで出掛ける
「何時に、何分歩く」と細かく決める方法が合う人もいれば、「この用事の前に少し歩く」と決めるほうが続けやすい人もいます。
帰宅後にカレンダーへ丸を付けたり、見つけた花を一つ覚えておいたり。記録をするなら、負担の少ない方法で十分です。
靴と道を選んで、心地よいペースに
歩く前には、足に合う靴と、その日の服装を確認しましょう。朝夕は涼しくても、歩いているうちに暑くなることがあります。脱ぎ着しやすい上着があると、調整しやすくなります。
慣れないうちは、段差が少なく、歩きやすい道を選ぶと安心です。夕方に出掛けるなら、暗くなる時間を考えて、明るい道や帰りやすいコースを選びましょう。
散歩を楽しむための準備として、次のことも意識してみてください。
- 最初から速さを求めず、無理のないペースで歩く
- 水分をとることを忘れず、必要に応じて飲み物を持つ
- 写真やスマートフォンを見るときは、安全な場所で立ち止まる
- 疲れたら、距離を短くしたり休憩したりする
厚生労働省の案内でも、活動の時間や強さは少しずつ増やし、体調が悪いときには無理をしないことが示されています。病気や痛みがある場合は、医師などの専門家に相談して、自分に合う動き方を確認しましょう。[1][2]
散歩のある日も、食卓はいつものバランスで
散歩から帰ってきたら、日々の食事にも目を向けてみましょう。
ごはんやパンなどの主食、魚・肉・卵・大豆製品などを使った主菜、野菜などの副菜。特別な料理を用意しなくても、いつもの献立に組み合わせを意識するところから始められます。
忙しい日には、買ってきた料理に野菜の一品を添えるなど、できる範囲の工夫でかまいません。歩く時間と同じように、食事も暮らしの中で続けやすい形を探してみましょう。
消費者庁は、健康づくりの基本を食事・運動・休養とし、健康食品はそれらを補助するものとして利用することを案内しています。[3]
サプリメントを取り入れる場合も、日々の食事を振り返ったうえで、補いたい部分に合わせて選ぶ。表示された摂取目安量や注意事項を確認し、服薬中の方は医師・薬剤師に相談することも大切です。
散歩を始めたからといって、何かを新しく買い足す必要はありません。まずは、歩く時間と普段の食事を、今の暮らしに合う形へ少しずつ整えていきましょう。
雨の日や、歩けなかった日も続きのひとつ
雨の日や予定が詰まった日には、外へ歩きに出られないこともあります。
そんな日は、家の中の片付けで少し動いたり、仕事の合間に立ち上がったり。散歩とは違う形でも、暮らしの中で体を動かす時間をつくれます。
体調がすぐれない日には、休むことを優先しましょう。
歩けなかった日があっても、次に出掛けられる日に、いつもの道へ戻れば大丈夫です。一度も休まないことより、また始めやすい習慣にしておくほうが、日常になじみます。
今週の散歩は、ひとつだけ決めてみる
最初の一歩として、今週できそうな散歩を一つ考えてみませんか。
- いつ:買い物へ出る前、昼休み、休日の朝など
- どこへ:家の周り、近くの公園、歩きやすい道など
- 何を楽しみに:木々の色、花、空の広さ、家族との会話など
歩く時間や距離は、出掛けてから調整してもかまいません。
「今日は、あの道を少し歩いてみよう」
そんな気軽なきっかけから、秋の散歩が、いつもの楽しみの一つになっていきます。
参考情報
[2] 厚生労働省「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」